男の育児休暇は無意味か?
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ワークライフバランス, 家族, 生活
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ちょっと古い記事で恐縮なんですが、当時読んでなんかモヤモヤし、今になってもやっぱりモヤモヤしているので、掘り返して書いてみます。
僕の頭の中もあんまり整理できていないので、このポストの内容もモヤモヤするであろうことを、予めお断りしておきます。すみません。
「マタハラ」「パタハラ」「妊活」「保活」……用語の氾濫と情報整理の必要性 : MAMApicks -子育て・育児・教育ニュース&コラムサイト-
けっこう長い記事なんですが、女性の産後の復職のためにどのような制度的手当が必要か、男性の育休取得は意味があるのか、という話から、今般の出産育児に関する様々な用語や情報の氾濫をいちど交通整理する必要がある、と結んでいきます。
この記事の著者の方の論旨は明快であり、特に異論はないんです。僕が引っかかったのは、この記事で引用されている箇所。引用の引用になってしまうんですが、ここでも記しておきます。
株式トレーダー、若林史江さんの意見
数年前、知人の男性が出世街道にいたにも関わらず育児休暇を取った。その会社は男性の育児休暇取得を推進していたが、職場復帰した結果はやはり出世街道を外れた。
男性の育児休暇取得よりも大事なのは、子どもの手がかからなくなる小学校中学年か高学年くらいまで、育児と仕事を両立しなくてはいけない女性の職場復帰後のやりやすさを整えることではないか
マツコデラックスさんの意見
男性の育児休暇の体制を整えたからよくなるかというと分からない。自分たちの小さいときはこんな制度があったわけではないしお父さんは家にいないのが当然だった。
極端な言い方をすると、子どもが赤ちゃんの時期は父親はいなくてもいい、役に立たない。それよりも女性がリスクなく休みを取れる体制を整える方が大事
まず、若林さんの意見について。
男性が育児休暇を取得して出世街道を外れた。だから、女性の復職環境を整えるべきだ。
要約すると、こんな趣旨かと思います。ぼんやり読むとスルーしてしまうんだけれど、考えてみれば、前段と後段を簡単に「だから」で繋げてよいものでしょうか?
例えば、こんな結論だって同じように導けるはずです。
男性が育児休暇を取得して出世街道を外れた。だから、男性の復職環境を整えるべきだ
ではなぜ後者ではなく前者の論理展開となるのか。それはその後を読めばわかります。
子どもの手がかからなくなる小学校中学年か高学年くらいまで、育児と仕事を両立しなくてはいけない女性
育児と仕事を両立しなくてはいけないのは、本来的に、女性も男性も同じはずです。けれどもここでは、女性が育児の担い手となることを当然の前提としている。
僕の言っていることは机上の空論だ、現実にはほとんど女性が育児をやっているではないか、という意見はもちろんあるでしょう。そしてほとんどの男性が育児と仕事の両立を困難だと感じていることもまた事実としてあります。
男性の51%が仕事と育児の両立無理! | ゆるふわ会計士のあかろぐ!
しかし、現状がどうであれ、社会問題へのソリューションを考えるに際しては、まずはあるべき理想像を描き、そこと現実とのギャップを埋めていくべきではないかと、僕は思うのです。
現実は女性が家事育児の事実上の主体であるとしても、問題解決のためにはその現状に固執する必要はありません。
子どもの手がかからなくなる小学校中学年か高学年くらいまで、夫婦が対等に協力して育児と仕事を両立できる社会制度のあり方を模索するのが、筋じゃないかと、僕は思うわけです。
結局、育児は女性がやるものとの前提に立つと、先日問題になった女は家で育児が合理的発言と、本質的には変わるところがない。
女は家で育児が合理的発言に思うこと | ゆるふわ会計士のあかろぐ!
この前提をいかに覆していくかが、あるべき戦略であって、この前提の上でどんな制度を組んだところで本質的な解決には至らないでしょう。
次にマツコさんのほうの意見ですが、最初の、昔はそんなものなかった論、これはいちいち論ずるまでもなく、的外れと言わざるを得ないですね。
昔は子供に人権なんてなかった、労働させるのが当然だった。
昔はDVなんて概念はなかった、子供を殴るのが当然だった。
いくらでも例が出せるほど、無意味なロジックです。
子どもが赤ちゃんの時期は父親はいなくてもいい、役に立たない。
こちらについてはどんな根拠に基づいて発言されているのでしょうか。
例えば育児は完全に母乳ですべきもので、男性から母乳は出ないので役に立たない、そう言われたら、そうですねと言わざるを得ません。
でも母乳以外の点で男性が育児に役立たないとしたら、それはこれまで女性が主に育児にコミットしてきたせいで、そのノウハウがないからでしょう。ノウハウは経験により身につきます。
例えば男性は夜中に子供が泣いても気づかない、なんてまことしやかに言われることがありますが、そんなの都市伝説です。育児していれば、微妙な呼吸の変化でさえ気づいて目覚めるようになる。そんなの男女関係なく、育児に真剣に取り組んでいれば開発される能力です。
結局これも、現状ありきの議論に終始してしまっている。
と長々と書いてしまったけれど、僕がこんなに熱くなってしまうのは、育児を巡る議論の多くが、社会的フェアネスとは何かという視点を欠いたものになりがちだからです。
僕がゆるゆるふわふわ生きていくためにも、是正されるべきものは是正すべき、と心から思います。
Posted from するぷろ for iOS. by @kensuke0724